IBM iのショップはTechnology Refreshesの価値に気付いていない
IBM iの開発チームはTechnology Refreshesを提供しています。しかしながらこれに気付いている人は比較的少数です。
IBM i7.1に向けたTechnology Refreshes(TR)2とIBM i7.2に向けたTR 3の出荷が11月20日に開始されました。
IT Solutions Group (ITSG)の設立者でプレジデントのMatt Staddlerは「人に今のTRレベルは何?と尋ねればほとんどの人は、TRレベルって何?と答えるでしょう」と言います。Staddlerの会社はIBM iのコンサルティング、インプリメンテーション、及び米国とカナダで顧客にサポートサービスを提供しています。オペレーティングシステムのアップグレードとTechnology Refreshのインプリメンテーションが顧客へのサービスの一部です。このサービスはそれほど頻繁に必要にはなりません。理由は、TRの価値が認識されていないからです。ITSGの顧客でTRを最新レベルにしている顧客はほとんど居ないとStaddlerは言います。
IBM iの環境で重要な変更が有るときは一定レベルのTRが必要になり、人々は注意を向け始めます。
StaddlerはショップがTRに気付く場合の一例として「我々は顧客がハードウエアに課題を抱えていたとき、顧客を7.1 TR4からTR10に導いた」と述べています。さらに「顧客たちはテクニカル・リフレッシュが何であるかを知らず、TRの機能に気付いていない。いかに多くの人々がTRの価値を理解していないか、その現実を知るときっと驚く。IBMはTRに関するメッセージを出していないことも要因」と述べています。
IBM i市場の弱さについてはIBM iのコミュニティーで頻繁に話題になっています。
ただ、市場の多くがビジネスパートナーの腕にかかっています。IBM iが現代的で、競合システムに比べて高性能であることの認識とブランド・アイデンティティーが確立されていない状態は理想的ではありません。
「IBM iの競合者たちはIBM iが5年間も同じOSであったことを指摘している。しかしながら、OSが各リリースを通して継続的に機能強化されていることが見落とされている」とStaddlerは主張しています。
2010年9月の7.1 TR 1を含めて次々とリリースされた11種のTRで、他の全てのカテゴリーに比較して多くを占めたのはデータベースの機能強化でした。DB2 for iデータベースは間違いなくPower Systemsプラットフォームの中核となる機能です。
いまIBM iの顧客基盤をデータベースのモダニゼーションに引き付け、その特性を完全に活用させることが必要とされています。
2014年5月、IBM i 7.2がリリースされたとき、データベースの機能強化は引き続き投資の優先事項であり、これはこの先も変わることは有り得ません。IBM iサービスのSQLを基盤にしたバンドルは過去7.1 と7.2に向けた数々のTRで重要性が強調されてきており、このプラットフォームの将来におけるWebサービスの重要性の指針です。
これから先のTRに、さらに多くのこれらのサービス、SQL Queryのパフォーマンスの向上、データベース・ドリブンのセキュリティー・テクノロジーが含まれると思われます。
フリーフォームRPGのサポートがTRエンハンスメントについて多く取り上げられる項目の一つでした。新しい開発の取組のなかで固定形式RPGを置き換えることによって開発環境を現代化することへの関心の高まりが兆候として見られます。このサポートは1年前、7.1用のTR9と7.2用のTR1で可能になりました。最新のTRでは80カラムの制限が排除されています。もし、そしていつか、フリーフォームのRPGに人気が有って一般的に採用されることになれば、RPGの島から開発本土への橋が構築されるでしょう。
アプリケーション開発で話題に上るもうひとつの分野は、PHP、Ruby、Python、Node.jsといったオープンソースの言語とフレームワークのサポートです。IBM iのオープンソース開発コミュニティーは、Zend Technologiesの偉業とProfound Logicのモダニゼーション製品にPHPを組み込んだことで大変優れた支えを得ています。
また、TR 11/TR 3にはオープンソースGNU Compiler Collectionコンパイラーセットのインプリメンテーション及びLinuxコミュニティーで活用されているものと同じオープンCコンパイラーをIBM iに提供するツールキットが含まれています。またこれと共にGit、.zip、.tar、bash、Python 2.7といったコンポーネントを有しています。GCCは、IBM i環境に以前使用できたもの以上の精選されたオープンソース・アプリケーション・パッケージを有しています。これは将来に向かっての大きなステップです。
人々は、Technology Refreshのエンハンスメントが機能強化の正しい選択か、IBM iのショップを現実にOSの最新バージョンに動かすのは他のエンハンスメントかを議論するでしょう。いずれにしても、TRは極めて重い価値を有していることを考慮に入れておく必要があります。IBM iの大多数のショップは現在7.1を稼働させており(HelpSystemsの昨年の調査によれば63パーセント)、このコミュニティーはTRエンハンスメントに徐々に精通してゆくべきだと考えます。