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IBMi海外記事2014.08.27

Power8 システムのコストを考察する

Timothy Prickett Morgan 著

IBMがIBM iのインストールベースの大きな部分を占めるソフトウエアグループとプロセッシングのニーズを満たすために4コアのエントリーPower8マシーンを出荷したいま、Power7、Power7+、及びPower8マシーンを比較して価格性能比を分析する良い機会です。
私はIBMのCPWオンライン・トランザクション処理のベンチマークテストに基づいてフィード、スピード、価格の観点から比較してみました。しかしながらこれらは価格性能比のおおざっぱな相対的尺度にすぎないと自分でも感じています。これが今回処理性能、IBM iソフトウエア・ライセンス、及びサポートの価格を考察して比較する理由です。本稿は、システムのシャーシー、メモリー、ストレージ及びシステムに付加される周辺装置から離れて固有の処理性能に対するコストについて考察します。続いて、世代の異なるPowerチップを使ってIBM iを稼働させている構成システムについて考察し、さらにPower8ボックスをWindows、Linux、Unix、ハイパーバイザー、及びIBM iが提供するようなデータベースを搭載しているマシーンと比較します。
Power7、Power7+、及びPower8で使われているプロセッサーフィーチャー・カードのフィード、スピード、及び価格の全ては、私が4年前にPower7チップで作成し、新しいマシーンが出るたびにアップデートした下記URLに掲載のテーブルに含まれています。(http://www.itjungle.com/tfh/tfh071414-story01-table01.html)このテーブルにはFlex Systemは含まれていませんが何らかの時点で追加する予定です。BladeCenterブレードサーバー上のIBM iの浸透が、顧客たちがハードウエアにさらに出費することについての姿勢を示しているとすれば、IBM iの顧客の多くは多分Flex Systemではなくラック及びタワー型のPower Systemsを購入しています。ライトグリーンのマシーンがPower7+でライトブルーが新エントリーのPower8システムにして見やすくしました。
これらの構成は、各プロセッシング機構の中の全てのコア上でフルにIBM iスイートを稼働さる妥当な数のユーザーを追加するためのコストを示しています。エントリーマシーン(Power720、Power 720+、及びIBM i P05のS814)上には40ユーザーが有り、P10クラスのマシーン上には300ユーザーが有ります。P20とそれ以上のソフトウエア・ティアのマシーンは1個のアクティブ・コアに無制限の数のユーザーを持つことができ、ユーザー価格はデフォルトで組み込まれています。3か月のSoftware Maintenanceを取り出してこのマシーンの初期ライセンスに組み込み、次に通年のSWMAに追加しています。(このチャートは2年前に作成したものでAIXの価格に対するIBM iの価格を比較しており、この価格は今も変わっていません。)
これはプロセッシング、IBM iソフトウエア、及びサポートのコストが2013年に出たエントリーPower7+マシーンにどのように追加されたかを思い出させるものです。

図1

ご存知のとおり、ひとたび4コアのバリアントを外すと、CPW当たりのコンピューティングコストは6コアプロセッサーによって劇的に上昇し、さらに8コアマシーンによっていっそう高くなります。そしてP10及びさらに高いティアに移行すると極めて高価になります。同じパターンがPower8ベースのPower S814及びPower S824マシーンに当てはまります。

図2

パターンは同じですが、コンピューティング性能の絶対コストは下がります。理由はPower8コアが、初期Power8ボックスに設定されているクロック・スピードで約10,000 CPWのパフォーマンスを達成するからです。これはPower S814のパフォーマンスの約50%増になります。小規模構成のPower S824は、コアが約12,000 CPWで、比較するPower 730+は7,500 CPW、Power 720+は7,100 CPWです。
IBMは、エントリーPower 814マシーンにおける4コア、3.02 GHzプロセッサーオプションの公式なCPW値を明らかにしていませんが、私は約39,00 CPWであろうと確信しています。これを計算すればこのシステムレベルにおけるCPWパフォーマンスは40%高く、CPW当たりのコストPower 720+に対して75セント安く、Power S814に対して53セント安くなります。これは価格性能比が29.3パーセント向上します。
ご覧のとおり、6コア及び8コアのバリアントに移行すると、OSと1年のサポートを含むCPW当たりのコストは急勾配で上昇しますが、IBM iのショップはこのことをよく知っています。但しこのコストはPower 720+マシーンのCPW当たりのコストに比べれば約20パーセント低くなります。6コアプロセッサーカードに$150,094あるいは8コアカードに$206,260を支払うのは想像し難いのですが、これが実際の価格です。
ハードウエアについては気にする項目ではなく、多額の割引が得たいのであれば、積極果敢にIBMを攻めてIBM iのライセンスコストとSoftware Maintenanceコストを削ることです。そして留意すべは、それらの割引をいまアクティブにするひとつあるいは2個のコアに留めてしまうのでなく、将来のIBM iのインストールにも適用させることです。なぜなら、以下のチャートと付随テーブルが示しているとおり、IBM iオペレーティングシステムとその統合リレーショナルデータベース管理システムのコストは極めて高額だからです。これは、商用グレードのリレーショナルデータベースのコストが、その製造者が誰であるかにかかわらず、オペレーティングシステムのコストに比べると大変高額だからです。以下は、IBM i 6.1、7.1、7.2用ソフトウエア・ライセンスを持つエントリーPower7+マシーンのハードウエア、ソフトウエア、及びサポートコストの内訳で、このソフトウエア・ライセンスはPower 710+及びPower 720マシーンのプロセッサー・コストの60パーセントから70パーセントを占めています。

図3

Power S814では、ソフトウエアのコストの占める割合はやや小さく、このことがPower7、Power7+、Power8マシーンのユーザー数が安定して変わらない要因になっています。

図4

大型Power S824マシーンは、2ソケットで、ソフトウエアのコストが80パーセント以上を占めています。(申し訳ありませんが、私のExcelの調子が悪くて上図の赤線の70%以上を表示できません。)ポイントはPower8マシーン上のプロセッサーカードとコア活性化のコストが実際にPower8の能力を使用し、サポートする総コストのほんの一部にすぎないということです。サポートのコストは一般的に高額ですが、さらにソフトウエアについてはハードウエアの8倍という高さです。価格に関しては他のシステムと何らかの差異が有る、あるいは無いかもしれず、この点に関しては今後の記事で詳しく考察してゆきます。

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