IBM i (AS/400)のPTFって大事なの?
Question
今、弊社ではPTFに関して理解を深める事が必要な局面に立っています。
先日、ハードエラーがありパフォーマンスが著しく低下する事態に陥りました。
ベル・データのハードウェア部門に相談させていただいたところ、調査の結果、下記リンクに関連する問題であることが分かりました。
一部のSAS RAIDアダプターの障害未然防止のためのPTF (HIPER) 適用のお願い
https://www.ibm.com/support/pages/node/6611497
PTFを適用し、エラーも無事解消されましたが、ハードパフォーマンスがPTFによって影響出るのか・・・と少しばかり驚きました。
これを受けて弊社内では、今までずっと「動いているし、良いよね?」というスタンスではありましたが、定期的な更新をするべきという意見も出ており、システムへのPTF更改ポリシーを検討する事となりました。
しかし正直、PTFと言われても・・・(;^ω^)PTFって言われるけどいまいち何なのか分からない\( 'ω')/と、お手上げ状態です。
まずはPTFに関する情報を収集したいと思うのですがご支援いただけませんか。
Answer
私の方でもご提示されたPTFに関する相談を1週間で5回伺ったことがあるほどホットな修正だったようです。
無事解消されたようで何よりです。
そして今回の問題に対しPTFの重要性を再認識されたとのことですね。
では本題に入ります。
ズバリPTF(Program Temporary Fix)とは修正パッチのことです。
Windowsアップデート等と同じようなものだとお考えいただいて宜しいかと思います。
残念ながらIBM i (AS/400)ではWindowsアップデートのようにPTFの自動更新は実施できません。
恐らく、皆様もこのあたりはご存じでしょう。
ではPTFには個別PTFとグループPTFというものがあるのはご存じでしょうか。
- 個別PTFは、SIxxxxxやMFxxxxxxから始まるもの
- グループPTFはSFxxxxxxから始まるもの
おおよそ名前でイメージがつくかもしれませんが
個別PTF
特定の問題や機能拡張に対し、その修正等を目的としたもの。
適用による影響範囲が特定機能に対するものだけのため、問題発生時にひとまず適用を検討するよう勧められるパターンが多いです。
グループPTF
個別PTFの集まりです。
個別PTFの集まりです。システムに重大な修正を集めたもの、特定のライセンスプログラム(IBM提供)に対する修正や拡張を集めたもの等、用途によってグループPTFの中でも種類が分かれます。
OSのバージョンによっても提供されるグループセットが異なりますので、下記をご参照ください。
https://www.ibm.com/support/pages/ibm-i-group-ptfs-level例えばV7R5 OSでは、18種類のグループPTFが提供されています。
PTF番号 PTF名称 SF99959 Group Hiper SF99958 Group Security SF99957 Technology Refresh SF99956 Technology Refresh plus Recommended Groups SF99955 Java SF99954 Backup Recovery Solutions SF99953 Performance Tools SF99952 IBM HTTP Server for i SF99951 IBM Db2 Mirror for i SF99950 DB2 for IBM i SF99751 All PTF Groups except Cumulative PTF Package & MQ SF99750 Current Cumulative PTF SF99679 IBM MQ for IBM i - v9.2.0/v9.3.0 SF99677 750 TCP/IP PTF SF99676 High Availability for IBM i SF99673 Db2 Web Query for i V2.4.0 3 SF99671 Db2 Web Query for i V2.3.0 9 SF99669 Content Manager OnDemand for i - 5770-RD1 7.5 此れだけでもそれなりにありますが、このグループ一つ一つに、何百という個別PTFがグループの用途に分けて入っています。
じゃあどれを当てればいいの?というご意見についてはごもっともでございます。
今回ポリシーをご検討いただくネックの部分でしょう。
口惜しいですが、どれが重要なのかについてはご利用環境によるため明示を避けざるを得ません。
本来であれば、各グループに含まれるPTFの内容を逐次確認いただき、お客様にとって重要と考えられる修正がどのグループに含まれるかをご確認いただいた上で、ポリシーに則って対象を決定していただくのがベストですが、あまりに手間がかかる為、実際にご対応いただくのは難しいでしょう。
統計を取っているわけではない為、あくまでご相談事例や適用の機会が多いものとしてV7R5のグループPTFをtier分けして下記に記します。
あくまで参考程度にお考え下さい。
tier1(システムの稼働に関する重大な修正が含まれやすい傾向) PTF番号 PTF名称 SF99750: Current Cumulative PTF SF99959: Group Hiper SF99958: Group Security SF99957: Technology Refresh SF99950: DB2 for IBM i tier2(ご利用される事の多い機能等に関する修正が含まれやすい傾向) PTF番号 PTF名称 SF99955: Java SF99954: Backup Recovery Solutions SF99953: Performance Tools SF99952: IBM HTTP Server for i SF99677: 750 TCP/IP PTF といった所でしょうか。 例えば上記tier1に属しているものは、PTFのレベルに差異があると、問題の再現等をする際に挙動に差異が出ることもあり、最新から1年以内の更新であることが望ましいです。
おおよその重大度に関して参考を提示しましたが、それでもその上位tierに含まれる個別PTFの修正内容をご確認されたい場合は、上記サイトのリンクからグループの中にどの個別PTFが含まれているか確認できます。
・・・・はい、おっしゃりたいことは非常にわかります。英語だし技術的な表現でよくわかりませんよね・・・。
技術的内容をある程度かみ砕き、内容を把握しやすいようを整理されたものを確認されたいといったご要望に応え、PTF情報提供サービスも展開させていただいておりますので、ご興味がありましたら是非ご検討ください。
サポートの終了しているOS文書ですが、基本的な考え方・内容に相違ないためメーカーからのPTFに関する参考文書のリンクを下記に記します。
参考:修正または PTF の種類
https://www.ibm.com/support/pages/types-fixes-or-ptfs
by 大熊猫橋